Volume 4 Number 1

ONLINE ISSN 2423-9135

表紙・編集委員会

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●[論説]日本ジオパーク委員会事務局からみた日本のジオパーク活動の発展過程―2005年から2014年まで持続可能なジオツーリズムのためのジオサイトの評価-三陸ジオパークの例

大谷 竜・菊地直樹

我が国におけるジオパーク活動の発展過程を解明するために,実質的に日本ジオパーク委員会(JGC)事務局長であった渡辺真人にインタビューを行い,特に立ち上げから制度整備にいたる初期のJGC の活動を詳らかにした. JGC が発足した当初は,ジオパーク活動の目的は単なる「地形・地質遺産の認証」であり,JGC はそのための学術的認証機関でしかなかった. しかし,2009 年に世界ジオパークネットワーク(GGN)加盟のための審査の経験を経て,地域の問題解決のツールとしてのジオパークという視点が導入されることを通じて, 審査内容が大きく変容し,地形・地質遺産の保護のみでなく,教育・学習や地域の持続的発展に関連した活動等を評価する評価軸へと変わってきた. またそのためにJGC 自身も審査の方法や,委員のメンバーの構成等も大きく変容した.このことで,各ジオパークが地域の問題に気づき, 地域の課題解決に向けた自らの取り組みの方向性を自己修正していくことを促すきっかけや仕組みとしてのジオパークの審査が行われるようになってきた過程が明らかになった。

ジオパークと地域資源 vol.4 no.1 pp.1-14
2019.12.19公開

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●[エッセイ]ジオパークは自然教育や地域社会にいかに貢献できるか

小泉武栄

ジオパークは公式には科学的,景観的に価値のある地形・地質や生態系などを保全するとともに,それを教育や観光に生かし,さらに地域振興を図るという多目的な仕組みである. しかし実体としては,地形や地質をベースにした観光に中心があることは紛れもなく,それなしには話が進まないというところがある. しかしながらジオパークの場合,観光が中心だとしても,従来の観光と違っていくつかの優れた特色をもっており,このことはジオパークに関わる教育部門や,今後の地域社会のあり方にも影響を与え得る可能性が大きい. 本稿ではジオパーク活動の長所をいくつか取り上げ,教育や地域社会に与える影響と貢献について,具体的な事例をあげながら論じたい。

ジオパークと地域資源 vol.4 no.1 pp.15-22
2019.10.17公開

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