Volume 3 Number 1

ONLINE ISSN 2423-9135

編集委員会

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●[論説]持続可能なジオツーリズムのためのジオサイトの評価-三陸ジオパークの例

高木秀雄・鈴木ドロータ・橋長晃平

ジオサイトは地質や地形を基盤とした科学的に価値のあるサイトである.ジオパーク活動の一つの柱であるジオツーリズムを効果的に発展させ,また運営する上で,ジオサイトの評価は重要な役割を担う. ヨーロッパでは過去20 年余り,多くのジオサイトの評価法が議論されてきたが,日本ではほとんどない. そこで,Suzuki and Takagi (2017a)に示されたジオサイトの評価法を紹介し,実際の評価例を示す. この評価法は,主項目として,教育的価値,科学的価値,観光価値,安全とアクセス,保護保全とサイトの持続可能性,情報の整備状況,の6 つを設定し,各々3 つの副項目の合計18 項目について4 段階で評価するものである. 各副項目の平均値を,6つの主項目を頂点にとったレーダーチャートに示すことにより,ジオサイトを簡便に評価できる. この方法を用いて三陸ジオパークにおける8 ジオサイトを評価すると,科学的,教育的に重要であっても,観光地として知られていない地域については全体として低い評価となった. こうした評価法は,ジオサイトの現状分析や,持続可能なジオツーリズムの改善に向けて役立つであろう.

ジオパークと地域資源 vol.3 no.1 pp.1-11
2018.01.31公開

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●[論説]ジオパーク専門員の属性と持続可能な地域づくりに果たす多面的な活動

菊地直樹・大谷 竜・渡辺真人・柴田伊廣・斉藤清一

日本におけるジオパーク専門員の属性や活動等の実態解明のため,全国の世界及び日本ジオパークと,ジオパークを構想している地域に対してアンケート調査を行った. 回答ジオパーク(構想中のものも含む)は36 地域,回答者は59 名であった.その結果,以下のことが分かった. 第一に,専門員は若い研究者が多くを占め,雇用形態は不安定である.第二に,専門員の学位やキャリア,専門分野等は多様である. 第三に,専門員の活動は「普及活動」と「申請・再申請」という制度としてのジオパーク活動に特有のものに関しては高い傾向にある. また自由記述欄での回答から,専門員は地球科学の普及のみならず,地域振興という観点からも仕事に意欲を感じているものの,それを十分に活かす環境が必ずしも整っていない事が示された。

ジオパークと地域資源 vol.3 no.1 pp.13-26
2018.02.23公開

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