南紀熊野ジオパークの位置

 南紀熊野ジオパークは、本州最南端となる紀伊半島の南部地域にあり、和歌山県新宮市、白浜町、上富田町、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町及び奈良県十津川村の一部の10市町村の範囲となります。

南紀熊野ジオパークの位置

南紀熊野ジオパークの概要

 南紀熊野は、プレートの沈み込みに伴って生み出された異なる3つの地質体(付加体前弧海盆堆積体火成岩体)を見ることができるジオパークであり、それらが作る独特の景観を楽しむことができます。 また、近くを流れる黒潮の影響を受け、温暖湿潤な気候のため、多種多様な動植物が生息しています。 さらに、滝・巨石・大木などをご神体とする自然信仰、そこから生まれた熊野信仰(熊野詣の参詣道である熊野古道は世界遺産に登録されています)や、急峻な渓谷ゆえに発達した筏下りなど、優れた文化がたくさんあります。大地にまつわる民話も伝えられています。温泉や鉱山などの大地の恵みを享受する一方、洪水、土砂崩れ、津波などの自然災害への備えを忘れることができない地域でもあります。

プレートが出会って生まれた3つの大地(付加体、前弧海盆堆積体、火成岩体)
大地に育まれた熊野の自然と文化に出会う

主な見どころ・
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フェニックス褶曲

 この折れ曲がった地層は、かつての海溝に堆積した砂岩と泥岩の互層が海洋プレートの沈み込みによって陸側に押し付けられて付加体となる時に形成されたものです。完全に固まる前に陸側に押し付けられたため、壊れずに折りたたまれました。世界的にも有名な褶曲で、中学校の理科の教科書にも採用されています。

アクセス情報
JR紀勢本線「周参見」駅より車で約10分、その後徒歩で険しい道を約20分

北山峡

 標高差650mに及ぶV字状の大峡谷は、マグマの影響で硬くなった地層(主に付加体)が、北山川により下方にどんどん浸食されることによりできたものです。道が険しいので、昔は切り出した木材を筏にして川を下り、新宮まで運びました。新宮市との結びつきが強かったことが、現在北山村が飛び地になっていることにつながったとも言われています。今では木材輸送は陸路に切り替わりましたが、5~9月には観光筏下りが行われています。

アクセス情報
JR紀勢本線「新宮」駅より車で約1時間20分

古座川の一枚岩

 高さ100m、幅500mのこの巨大な岩壁は、延長20km以上にわたる「古座川弧状岩脈」の一部です。「古座川弧状岩脈」は、約1500万年前~1400万年前、「熊野カルデラ」形成に伴いマグマが地表へ噴出する際の通路として形成されたものです。この岩壁には、一枚岩の守り犬の民話があり、毎年、4月と8月に巨大な守り犬の影が出現します。

アクセス情報
JR紀勢本線「古座」駅より車で約25分

橋杭岩

 約900mにわたり、幅約15mの橋脚のような岩塔(橋杭)が直線状に並んでいます。約1500万年前~1400万年前に地下から上昇したマグマが、泥岩に貫入した岩脈です。波によって泥岩は浸食されるものの、硬い岩脈は取り残され、現在の形になりました。岩脈が崩壊して海岸に散在する漂礫は、巨大地震による津波で運ばれたとされています。また、弘法大師と天の邪鬼の民話が残されています。

アクセス情報
JR紀勢本線「串本」駅より車で約5分

那智の滝

 那智大滝は、浸食に強い火成岩(熊野酸性火成岩類)と比較的やわらかい堆積岩(前弧海盆堆積体)の地層の境界に形成された、落差133mの滝です。この滝の奥の山中には、二の滝、三の滝など多くの滝が存在し、那智四十八滝と呼ばれています。那智大滝は、那智の扇祭り(国指定重要無形民俗文化財)の祭祀の中心となっており、また世界無形文化遺産の指定を受けた那智の田楽が奉納される場所でもあります。

アクセス情報
JR紀勢本線「那智」駅より車で約15分

神倉山のゴトビキ岩

 山の斜面に鎮座する巨岩です。ゴトビキとはヒキガエルの意味です。熊野御燈祭(県指定無形民俗文化財)の祭祀の中心となっています。マグマからできた火成岩(熊野酸性火成岩類)が風化してできたもので、このような球形に風化した岩はコアストーンと呼ばれます。

熊野御燈祭(県指定無形民俗文化財) 写真
アクセス情報
JR紀勢本線「新宮」駅より徒歩約15分、その後階段で約20分

千畳敷

 波の浸食でできた平らな海底が隆起して海岸段丘となった地形です。陸側の駐車場下に段丘礫層が見られます。前弧海盆堆積体である砂岩層には、浅い海でできた地層特有の堆積構造や生痕化石が観察できます。また、近くの海食洞は、ユビナガコウモリの近畿地方唯一の繁殖洞として知られています。

アクセス情報
JR紀勢本線「白浜」駅より車で約15分

梶取崎

 砂岩層(前弧海盆堆積体)が作る絶壁が、熊野灘に向かって突き出した岬です。この岬に続く海岸段丘は、13~12万年前の間氷期に形成された海岸付近の平坦面が、南海トラフの巨大地震に伴う隆起によって標高60mまで持ち上げられたものです。沖を通る船はこの岬を目印として梶を取ったといわれています。古式捕鯨の船団を指揮した「山見」のひとつです。岬の下の海岸では堆積構造や熱水活動の痕、生痕化石などを観察することができます。

串本町古座から新宮市にかけての沿岸部では、古式捕鯨が盛んに行われてきました。
アクセス情報
JR紀勢本線「太地」駅より車で約10分

救馬渓

 役行者が開いたとされる修行場があり、小栗判官の伝説も残されています。瀧王神社の背面には、付加体とそれを覆う前弧海盆堆積体の不整合と呼ばれる地質現象が観察できます。不整合直上の厚い砂岩礫岩層は風化や浸食に強いために、救馬渓の断崖が形成され、その上に救馬渓観音が建てられています。

アクセス情報
JR紀勢本線「朝来」駅より車で約5分

基本情報

ジオパーク名:南紀熊野ジオパーク

ジオパーク名(英語表記):Nanki Kumano Geopark

団体名:南紀熊野ジオパーク推進協議会

構成自治体名:和歌山県新宮市、白浜町、上富田町、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町、奈良県十津川村

お問合せ先

■南紀熊野ジオパーク推進協議会事務局

〒649-3502 和歌山県東牟婁郡串本町串本潮岬2838-3 和歌山県立南紀熊野ジオパークセンター内

TEL 0735-67-7100 FAX 0735-67-7191

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■ウェブサイト  南紀熊野ジオパーク