ジオパークは、これまで地域で“見慣れた風景”を、科学的に価値を見直し、“見方を変える”ことによって、“ここにしかない風景”へと私たちの認識を変えてくれる場所です。そこでは、私たちの認識を変えてくれる“ガイド”の存在と、私たち自身がちょっぴり地球に関する知識を持っておくことが“ジオパークな旅の心得”です。
46億歳の地球
地球の「歴史」、それは46億年前の太陽の誕生とともに始まりました。太陽の“素材”にならずに“余った”塵やガスは、太陽のまわりで集まり微惑星となり、衝突や合体を繰り返しながら惑星になりました。その中の1つが「地球」です。
原始地球は“岩”の惑星として生まれ、そこへたくさんの微惑星が降り注いだと考えられます。その姿は、現在の「水の惑星」とは程遠い、マグマが海のごとく広がる「灼熱の惑星」でした。マグマの中に溶けていた地球を形づくる岩石や鉄などの物質は、比重の違いによって地球の中心と外側にわかれていきます。鉄などの物質は重たいため、中心部(下)へ移動しました。それが「核」です。
地球に大気と海が生まれた頃、地球の表層が1枚の岩ではなく、十数枚のプレートにわかれ、それらが別々の動きをすることによって、大陸が移動と衝突を繰り返す「プレートテクトニクス」が始まったと考えられています。
そして約40億年前、海の中で地球最初の「生命」が誕生しました。生命は繁栄と絶滅を繰り返し、多種多様な生き物たちが登場します。
その一方で、地球もマントルの活動により大陸の集合と分裂を繰り返し、時には、北極から南極まで1つにつながる大きな大陸をつくることもありました。
また、地球は温暖な時期と寒冷な時期を繰り返し、これに伴い海水準も変動しました。
大陸の集合と分裂や海水準の変化は、生物の移動や隔離を引き起こすため、生物進化においても重要な役割を果たしたのです。
日本列島ができるまで
時はすぎ、人類が誕生する以前の約2,600万年前。私たちがすむ日本列島の物語が始まります。
その頃、日本列島はまだアジア大陸の一部でしたが、大陸の東側で激しい地殻変動が起こり、地溝帯とよばれる陥没地帯ができました。そこに水が溜まってできた湖が日本海の原形です。
そして約1,500万年前、私たちにとって身近な海「日本海」が誕生します。
平(1990)をもとに作成。
この「日本海」を囲んで、アジア大陸と弓形をした日本列島が、「環」をなしているのがわかります。すなわち、日本列島は日本海を囲む“環”の一部であり、日本海の存在こそが日本列島の「居場所」を決めていたのです。
地震が多い地域として知られる日本列島。それは40億年にも及ぶ地球の動きと関係しています。日本列島は、「ユーラシアプレート」「北米プレート」「フィリピン海プレート」「太平洋プレート」の4つのプレートがひしめき合う大地の活動が活発な場所なのです。