繰り返される災害に立ち向かい、将来に備える

 東北地方太平洋沖地震による津波は、三陸地域で自然の恵みを享受してきた私たちに、自然は時に、大きな脅威をもたらすことを再認識させました。

 三陸ジオパークの活動は、東日本大震災からの復興にもつながるとともに、三陸地域に限らず世界の人々が次の津波災害に備えるため、私たちの経験や教訓を伝えていくことも目的としています。

地球規模の大地の成り立ち・変遷を知る・体感する

 三陸地方にも、日本列島が形成された地球変動の歴史を物語る重要な地層が分布しています。その地層の多くは、海の底に積もった砂や泥、生物の死がいなどがもとになっています。絶え間ない大地の活動が地下資源を育み、現在の地形や生態系を生み出してきました。こうした大地の営みをジオサイトを巡りながら体感・理解できます。

豊かなジオの資源と人々の暮らし

 三陸の背骨ともいえる北上山地は金・鉄・銅・マンガンなどの鉱山資源に恵まれています。古くは気仙地方で産出した金と奥州平泉の黄金文化との関りが伝えられ、近代以降は釜石鉱山をはじめとする製鉄業や多様な鉱床を活かした鉱山経営が各地で行われました。また、三陸沖は暖流と寒流の潮境で多様な生態系が育まれること、リアス海岸の入り組んだ地形が養殖漁業に適していることから、好条件が揃った世界有数の漁場となっています。

銚子ジオパークの大地の恵み

主な見どころ・
おすすめジオサイト

種差海岸

 種差海岸は、荒波による侵食でできた海食崖や奇岩、なだらかな海成段丘に天然芝、松林、砂浜など、変化に富んだ景観が特徴です。一帯では約650種を超える海浜植物・高山植物を見ることができます。

 遊歩百選にも選定された葦毛崎(あしげざき)展望台から種差海岸天然芝生地までの約5.2kmの遊歩道は、トレッキングや課外授業の場としても親しまれています。

また、司馬遼太郎や吉田初三郎などの多くの文学者や芸術者もこの景観に魅せられ、数々の作品を生み出しました。

種差海岸乗馬体験
イタコマイマイ岩
種差海岸ガイド
アクセス情報
●種差海岸インフォメーションセンター
青森県八戸市大字鮫町棚久保14-167 TEL 0178-51-8500
JR種差海岸駅より徒歩約3分

久慈琥珀

 岩手県久慈市周辺は国内随一の琥珀産地です。琥珀は、太古の樹木の傷口から分泌された樹脂の化石で、まれに樹脂の分泌直後に取り込まれた虫や植物を含むものもあります。古くは少なくとも縄文時代に琥珀の採掘と利用、流通があったことがわかっており、江戸時代には南部藩の特産品として江戸や京都に輸出されていました。

 琥珀を含む地層は川や浅い海で溜まった砂や泥などからなり、魚類や貝類などの化石も産出します。さらに近年になって恐竜化石の発見も相次いでおり、古生物学者からも注目を集めています。

虫入り琥珀
久慈琥珀博物館
中長内遺跡
アクセス情報
●久慈琥珀博物館
岩手県久慈市小久慈町19-156-133 TEL 0194-59-3831
三陸鉄道久慈駅・JR久慈駅より車で約10分

北山崎・鵜ノ巣断崖

 落差約200mの大断崖が連なる、三陸きっての景勝地です。北部の北山崎では、地元漁師が案内するサッパ船ツアーが大人気(体験村・たのはたネットワーク/TEL 0194-37-1211)。岩の間を縫って航行するコースでは、小さな船を巧みに操船する漁師の技術に驚かされます。

 また、北山崎の景勝をじっくり堪能する北山崎断崖クルーズも好評です(㈱陸中たのはた/TEL 0194-33-2113)。船上ではウミネコの餌付けも体験できます。

 南部の鵜ノ巣断崖はまるで巨大な屏風のようで、波打ち際の白波の美しさも印象的です。どちらも自然遊歩道が整備されているので、断崖の迫力を間近で体験してみましょう。

北山崎展望台からの景色
サッパ船ツアー
北山崎断崖クルーズ
アクセス情報
●北山崎ビジターセンター
岩手県下閉伊郡田野畑村北山129-10 TEL 0194-37-1211
三陸鉄道田野畑駅より車で約20分

龍泉洞・安家洞

 三陸には日本を代表する鍾乳洞が数多くあります。なかでも日本三大鍾乳洞のひとつ「龍泉洞」は歩道や照明が整備され、大規模な地底湖と多彩な鍾乳石群の美しい造形を間近に観察することができます。

 その龍泉洞入口の向かい側にあるのが1967年に発見された龍泉新洞です。縄文時代前期とされる多数の土器や石器が出土しました。現在は洞内にある科学館で、鍾乳洞を利用して生活していた人々の暮らしを知ることができます。

 また、安家(あっか)洞は日本最長の総延長23.7kmで、龍泉洞とともに国の天然記念物に指定されています。

龍泉洞ガイド
龍泉洞第1地底湖
龍泉新洞科学館
アクセス情報
●龍泉洞
岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1番地1 龍泉洞事務所 TEL 0194-22-2566
三陸鉄道小本駅から車で約20分 
●安家洞
岩手県下閉伊郡岩泉町安家字日 安家洞観光(有)TEL 0194-24-2011
龍泉洞から北へ車で約30分

浄土ヶ浜

 三陸を代表する景勝地のひとつ浄土ヶ浜。約4千万年前のマグマの活動と波の侵食が「さながら極楽浄土のごとし」と例えられる景色をつくりました。遊歩道を散策できるほか、遊覧船(みやこ浄土ヶ浜遊覧船 TEL 0193-62-3350)やサッパ船(浄土ヶ浜マリンハウス TEL 0193-63-1327)に乗って海から島巡りを楽しむこともできます。

 また、浄土ヶ浜から3kmほど北には、波が打ち寄せると海水が吹き上がる「潮吹穴」があります。気象条件によっては潮が吹き出さないこともありますが、波が荒いときには潮の高さが30mにも達し大迫力です。

浄土ヶ浜サッパ船
浄土ヶ浜ガイド
潮吹穴
アクセス情報
●浄土ヶ浜ビジターセンター
岩手県宮古市日立浜町32-69 TEL 0193-65-1690
三陸鉄道宮古駅・JR宮古駅から車で約10分

橋野鉄鉱山

 現存する日本最古の洋式高炉跡で、幕末から明治にかけての日本の近代製鉄業を支え、国の発展に貢献しました。平成27年7月に「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。

 鉄鉱石採掘場、運搬路、高炉、水車を利用した送風装置であるフイゴ場など、製鉄の工程を知ることができます。

 また、燃料として欠かせない木炭は、周辺地域の森林から製造され、高炉を構成する石組みも周辺の花崗岩(かこうがん)を利用しており、この地の恵みを活用し製鉄が行われていたことがわかります。

橋野鉄鉱山ガイド
橋野鉄鉱山インフォメーションセンター
橋野鉄鉱山インフォメーションセンター
アクセス情報
●橋野鉄鉱山インフォメーションセンター
岩手県釜石市橋野町2-6 TEL 0193-54-5250
三陸鉄道釜石駅・JR釜石駅から車で約50分

碁石海岸

 碁石海岸は末崎半島(岩手県大船渡市)の東南側約6kmにわたる海岸です。岩石が太平洋の荒波に削られてできた様々な奇岩、名勝と半島の松林の静寂が調和する絶景の地です。

 大船渡市立博物館(TEL 0192-29-2161)やレストハウス (TEL 0192-29-2121)を中心に整備された遊歩道に従い松林を抜けると、荒波が打ち付ける断崖の上まで迫ることができます。

 打ち寄せる波を雷のような轟音で響かせる雷岩、数十mの断崖絶壁が圧倒的な乱曝谷、波による侵食が岩に穴を開けた穴通磯、まるで黒い碁石のように丸く磨かれた砂利浜の碁石浜など、波と岩石がぶつかり合ってできた景観をまるごと体感できます。

穴通磯
碁石浜
碁石海岸穴通船
アクセス情報
●碁石海岸インフォメーションセンター
岩手県大船渡市末崎町字大浜碁石海岸 TEL 0192-29-2359
JR大船渡線BRT碁石海岸口駅より車で約10分

唐桑半島

 宮城県の最北東端に位置する唐桑半島内には多くの景勝地があります。半島の東部には幅3m、高さ16mの「折石(おれいし)」があります。名前の由来は1896(明治29)年の三陸津波で先端が折れたためと言われています。

 岩手県境近くにある大理石海岸はその名の通り大理石が露出する海岸で、青い海と木々の緑に白い岩肌のコントラストは絶景です。半島の西部には九九鳴き浜(くくなきはま)と呼ばれる鳴き砂の砂浜があり、国の天然記念物に指定されています。また、半島の南部には、2011年の津波によって運ばれた直径5mの巨大な津波石があり、津波のエネルギーの大きさを感じられます。

折石(おれいし)
唐桑半島ガイド
大理石海岸
アクセス情報
●唐桑半島ビジターセンター
宮城県気仙沼市唐桑町崎浜4-3 TEL 0226-32-3029
JR気仙沼駅から車で約30分

基本情報

ジオパーク名:三陸ジオパーク

ジオパーク名(英語表記):Sanriku Geopark

団体名:三陸ジオパーク推進協議会

構成自治体名

青森県:八戸市、階上町

岩手県:洋野町、久慈市、野田村、普代村、田野畑村、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、住田町、大船渡市、陸前高田市

宮城県:気仙沼市

お問合せ先

■三陸ジオパーク推進協議会事務局

〒027-0072 岩手県宮古市五月町1-20 宮古地区合同庁舎内

TEL 0193-64-1230 FAX 0193-64-1234

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