銚子ジオパークの概要

銚子ジオパークは、千葉県最東端に位置しており、東京駅からJR特急で2時間弱程です。全ての見どころは、住宅地に近接し、安全かつ短い移動時間で、手軽に見て、楽しむことができます。海に面しているため、夏は涼しく、冬も比較的温暖な気候です。様々な地質年代の地層だけでなく、水産業、農業、醤油醸造等の産業や、縄文時代の遺跡や江戸時代から現代の人々の暮らしも見逃せません。

太平洋に突き出た大地の右腕

日本列島のちょうど扇の要の部分に相当する銚子の大地は、上空から見るとまるで腕のようです。『拳』は、県内では最も古い中生代の硬い地層が見られます。これと同じ地層は、東京では約3,000mの深さにあります。『腕』は、海底に堆積した泥や砂がその後隆起した大地です。この南側は、荒波によって大地が削られて、切り立った屏風ケ浦が形成されました。『袖』は、利根川に沿って、沖積平野が延びております。

銚子ジオパークの大地の恵み

銚子ジオパークは、地理的に恵まれた場所に位置しています。海に目を向けると、銚子沖は、黒潮と親潮及び利根川の影響を受けて、海藻類の種類が豊富です。また、好漁場が近くに存在し、銚子漁港における陸揚量は、全国一です。この魚を狙っている海鳥の観察にも適しています。陸に目を向けると、海岸植物の種類も豊富で、南方系や北方系の植物が混在しています。

銚子ジオパークの大地の恵み

学校の校外学習にぴったり!

このように銚子は、地形・地質、動植物、歴史・文化、産業等ジオパーク学習の素材にあふれております。ぜひご活用ください。

学校の校外学習にぴったり!

主な見どころ・
おすすめジオサイト

犬吠埼

関東最東端に位置する犬吠埼の大地は、「犬吠埼の白亜紀浅海堆積物」として国の天然記念物に指定されています。ここでは、約1.2億年前の水深が浅かったころの環境に特徴的な地質構造や生痕化石などが見られます。しかし、江戸時代から昭和初期頃にかけて、銚子石と呼ばれる砂岩が切り出されて、砥石として東京方面に運搬されて利用されておりました。また、犬吠埼沖は、初夏には霧が発生しやすく、冬季には低気圧が発達しやすく、風波が強まるため、海上交通の難所でした。そのため、1874年に灯台が建設されて、点灯しました。犬吠埼灯台は、世界灯台百選の一つです。

アクセス情報
銚子電鉄「犬吠」駅下車、徒歩10分

犬岩・千騎ケ岩

犬岩は、犬の形をした巨大な岩体です。この犬岩と千騎ケ岩は、国の名勝及び天然記念物に指定されています。いずれも源義経に関する伝説が残されています。また、これらは、千葉県内で最古の地質時代(ジュラ紀)の岩体であります。犬岩の隣には、犬若岬という眺めの良い高台があります。江戸時代に全国を測量した伊能忠敬隊は、ここから富士山の方位を測量して、それまでの測量の精度を確認することが必要でした。しかし、銚子に来たのが晩夏であったため、海上の靄で、富士山を見ることができません。ついに9日目に富士山を測量できたので、とても喜んだと記録に残されています。

アクセス情報
JR銚子駅より千葉交通バス(千葉科学大学行き)終点下車、徒歩4分

屏風ケ浦

屏風ケ浦は、長さ約10km、高さ約20-60mの海食崖で、国の名勝及び天然記念物に指定されています。ぜひ、この壮観な景色を眺めてみてください。ここでは、地層がほぼ水平に広がって、下から上に堆積していることもよくわかります。屏風ケ浦は、かつて、陸が現在よりも沖の方まで延びていました。ところが、大地が比較的柔らかいため、荒天時の波浪による浸食で、年間約1m陸地が後退してきました。現在は、消波ブロックの設置により、浸食が抑えられています。今後も、この大地の保護のあり方を考える必要があるでしょう。

アクセス情報
JR銚子駅より千葉交通バス(千葉科学大学行き)「千葉科学大学マリーナ前」下車、徒歩5分

地球の丸く見える丘展望館・愛宕山

銚子ジオパークの最も高い場所に位置し、標高73.6mです。視界を遮るものがないため、ここから銚子ジオパークを一望することができます。周囲330度が海に囲まれ、水平線が広がって見えます。また、ここでは地球の丸さを実感することができます。入館料は大人ひとり380円です。この大地は、犬岩・千騎ケ岩と同じ千葉県内で最古の地質時代(ジュラ紀)の岩体であります。大きな地震で津波の原因となる大陸プレートと海洋プレートの境界付近で堆積した付加体です。この付加体という構造は、日本列島の骨格になっています。

アクセス情報
銚子電鉄「外川駅」下車、徒歩13分

千人塚・岩石公園

千人塚は、利根川右岸の河口部に位置しています。慶長19年(1914年)に、銚子沖で多数の人命が被害に遭ったとされる海難事故が発生したことに関連した石碑が立てられています。この辺りの海は、日本三大海難所の一つでした。特に、河口が北東方向に向いている利根川と、冬季の北東からの強風とがぶつかってできる三角波が危険でした。また、利根川河口の右岸側では岩礁(安山岩)、左岸側では砂による浅瀬であることも漁船の航行を困難にしておりました。そこで、漁船が安全に航行できるように、1960年代に岩礁を除去し、現在の岩石公園に設置しました。

アクセス情報
JR「銚子駅」より千葉交通バス(川口・ポートセンター行き)「川口千人塚」下車、徒歩2分

銚子ポートタワー・夫婦ケ鼻

銚子ポートタワーは、高さ57.7mのツインタワーで、銚子漁港、太平洋、利根川方面が一望できます。銚子ポートタワーの位置は、明治41年(1908年)に、日本で初めて無線電信局が開設された場所です。関東最東端に位置する銚子は、太平洋航行中の船舶との間で、無線通信を行うのに適した場所でした。その後、移転する1939年まで使用されていました。この場所の地層は、日本が中国大陸東端から離れて、日本海が形成された頃に堆積しました。同時代の地層は、国内の陸地では、ここでわずかに見られるだけです。現在この周辺は、埋立地で、水産加工場となっています。

銚子ポートタワー
夫婦ケ鼻
夫婦ケ鼻
アクセス情報
JR銚子駅より千葉交通バス(川口・ポートセンター行き)「ポートセンター(終点)」下車

外川

外川漁港の歴史は、銚子漁港よりも古く、江戸時代の万治元年(1658年)に初期の漁港が完成しました。やがて、イワシ漁によって町は繁栄し「外川千軒大繁盛」と呼ばれるまでになりました。江戸時代にイワシ漁が盛んになった経緯は、近畿地方において、布団に使う綿の栽培のために、イワシを干した肥料(干鰯)が必要でした。近海ではイワシは枯渇してしまいました。その後、紀州の海民が黒潮に乗って、房総沖に好漁場を見出しました。はじめは、旅網としてやってきた海民も、その後、定住するようになりました。こうしてできた街並みの面影を今でも見ることができます。

外川漁港
外川の街並み
外川駅
アクセス情報
銚子電鉄「外川駅」下車

粟島台遺跡

粟島台遺跡は、ちば遺産100選のひとつであり、縄文時代(約6,000~3,500年前)の遺跡です。ここでは、銚子で採取された琥珀を加工して供給する拠点的な遺跡であったと考えられています。銚子産の琥珀は、関東だけでなく、山梨県や長野県でも利用されていた可能性があります。また、漆で文様を描いた土器も見つかりました。このことは、漆塗りの高い技術をもった職人がいたということになります。さらに、南方の椰子の実に漆を塗った容器も見つかったことから、黒潮の影響を受けた文化がうかがえます。

粟島台遺跡
アクセス情報
JR銚子駅より千葉交通バス(千葉科学大学行き)「三本松」下車、徒歩約4分

余山貝塚

余山貝塚は、縄文時代(約4,500~2,300年前頃)の遺跡で、銚子市史跡に指定されています。このころ、余山貝塚では、貝輪(腕に飾る装飾品)が多量に生産されていました。この貝輪は、比較的大きな貝(ベンケイガイやサトウガイ)にドーナツ状の穴を開けて使用しました。穴を開けるのに使用した道具は、銚子産の砂岩や安山岩だと考えられています。この貝輪は、他地域でも利用されていたようです。また、シカの角を利用した漁労具であるヤスやモリもたくさん見つかり、それで魚等を取っていました。銚子は、魚介類や道具の材料に恵まれていたのですね。

余山貝塚
アクセス情報
JR銚子駅より千葉交通バス(豊里ニュータウン行き)「余山」下車、徒歩約5分

小畑池

小畑池は、標高約10mで高神低地東端に位置します。現地調査によれば、津波堆積物が堆積していることがわかりました。一方、古文書によれば、1677年の延宝房総沖地震において、東側の君ケ浜から津波が侵入し、砂丘の松林を倒して、背後の小畑池に辿りついたことが記載されています。このときの津波の高さは、数値モデル実験による研究結果によれば、約17mだったようです。これは2011年東北地方太平洋沖地震による津波よりもはるかに高いです。やがてやって来るかもしれない大津波について、どう対処すべきか考えておく必要があるでしょう。

小畑池
アクセス情報
銚子電鉄「君ケ浜」駅から徒歩約6分。またはJR銚子駅より千葉交通バス(外川行き)「池ノ端」下車

基本情報

ジオパーク名:銚子ジオパーク

ジオパーク名(英語表記):Choshi Geopark

団体名:銚子ジオパーク推進協議会

構成自治体名:千葉県銚子市

お問合せ先

■銚子ジオパーク推進協議会事務局

〒288-0822 千葉県銚子市八木町1777-1 銚子市地域交流センター・銚子芸術村内 銚子市社会教育課文化財・ジオパーク室ジオパーク班

TEL 0479-21-6667 FAX 0479-21-6622

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■ウェブサイト 銚子ジオパーク