繰り返される災害に立ち向かい、将来に備える

日本最南端のジオパークである三島村・鬼界カルデラジオパークは、薩摩半島の南に位置する海底カルデラと3つの島からなります。

日本で最も新しい巨大噴火の痕跡が生々しく残る竹島・硫黄島と、独自の文化・信仰形態の残る黒島。横並びの3島が全く違う表情を見せてくれます。

火山による大災害と、鉱物資源や地熱・温泉の恵み、そしてそれにまつわる人々の歴史を学ぶことができます。

また、三島村・鬼界カルデラジオパークの人口は400人足らず。日本で一番、おそらく世界でも一番小さなジオパークです。

三島村・鬼界カルデラジオパークの位置

縄文時代の大噴火を学ぶ

硫黄島と竹島の間の海底には、7300年前(縄文時代)に大噴火を起こした「鬼界カルデラ」が眠っています。このカルデラを形成したアカホヤ噴火とよばれる大噴火は、地震や津波などを伴った複合的な大災害でした。このときに発生した火砕流は海を渡って南九州を襲い、縄文文化を壊滅させたと言われています。現在も活火山の硫黄岳が活動を続ける三島村を舞台に、巨大噴火予知のための研究がすすめられています。

鬼界カルデラ
硫黄岳

主な見どころ・
おすすめジオサイト

竹島港ジオサイト

 三島村の玄関口でもある竹島港には、7300年前のアカホヤ噴火の全容を把握できる露頭があります。下位より、アカホヤ降下軽石・船倉火砕流(溶結凝灰岩)・幸屋火砕流(非溶結凝灰岩)の3種類の堆積物を観察できます。それぞれの堆積物は構成物質や堆積形態が全く異なっていることから、カルデラ噴火の最中も噴出物や噴出量に変化があったことを読み取ることができます。

竹島港ジオサイト

籠港ジオサイト

 竹島の南部にある籠港は、切り立った断崖の下にあり、漁船の避難場所などに利用されています。港としても利用されていた時期があり、そのころ島民は険しい崖を荷物を背にして上り下りしていました。景観は美しく、流紋岩溶岩が白い断崖を作り、透明度の高い海をいっそう美しく際立たせています。

籠港ジオサイト
籠港ジオサイト

岬橋ジオサイト

長浜湾西の江良部岬(通称恋人岬)に架かっている岬橋からは、長浜湾の変色海水と稲村岳・硫黄岳を一望することができます。長浜湾や南側の海岸線の変色海水が描きだす海面の模様は、潮汐、風向き、海流、降水などによって様々に変化します。また、稲村岳の奥に見える硫黄岳の噴気も日によって、時間によって変化します。訪れるたびに違った風景を見ることができ、まさに地球が生きていることを実感させてくれるジオサイトです。

東温泉ジオサイト

絶景の秘湯と名高い硫黄島の東温泉は、ph1.2の強酸性の温泉です。湧き出す温泉水は透明ですが、浴槽に生息するシアノバクテリアにより緑色に見えます。また、温泉水は海に流れ込むと、成分であるアルミニウムなどと海水との反応により乳白色に変色します。波音を聞きながら地球との一体感を存分に味わえます。ジオの恵みを全身で感じる最高のジオサイトです。

俊寛堂ジオサイト

平安時代末期の僧である俊寛は、平家討伐の謀議(鹿ケ谷の陰謀)に加担した罪で硫黄島に流刑に処されました。ともに配流された2名は赦され、本土に帰れることになりましたが、俊寛だけは赦されず島に取り残されました。一人残された俊寛は絶望の果てに絶食し、硫黄島で生涯を終えました。島の人々が俊寛の死を哀れみ、居住地跡に建設したお堂がこの俊寛堂です。硫黄島は、当時から硫黄を産する異界の島として有名であったことが俊寛らが配流される背景となっています。

俊寛堂ジオサイト

大浦港ジオサイト

硫黄島大浦港では、高さ60mの大露頭を見学できます。この露頭ではアカホヤ噴火前に噴出した長浜溶岩と、アカホヤ噴火の3種類の堆積物(船倉降下軽石・船倉火砕流・竹島火砕流)を観察することができます。双眼鏡があれば船倉火砕流のユータキシティック構造も観察することができます。夏季には磯遊びの海水浴場として賑わいます。

大浦港ジオサイト

平家城(へいけのじょう)ジオサイト

カルデラ噴火前から噴火後まで、一連の火山性堆積物を観察できます。先カルデラ堆積物である籠港テフラ、カルデラ噴火の堆積物であるアカホヤ降下軽石・竹島火砕流、後カルデラ堆積物である硫黄岳・稲村岳噴出物が連続して露出しています。また、先カルデラ堆積物の籠港テフラは断層が見られますが、後カルデラ堆積物の硫黄岳・稲村岳堆積物には断層がみられないことが確認できます。カルデラ噴火時に断層を伴う地殻変動が起こったことがわかる貴重なジオサイトです。

大浦港ジオサイト
大浦港ジオサイト
大浦港ジオサイト

地熱

硫黄島では、豊富な地熱を用いて地熱発電を行い、そのエネルギーを利用して液体水素を製造することが計画されています。地熱を利用した水素製造は、二酸化炭素の排出が極めて少ない究極のクリーンエネルギーとして注目を集めています。硫黄島の地熱・水素製造が成功すると、世界中の火山地帯にこれが展開されることになり、世界のエネルギー問題解決に貢献する可能性があります。産官学の多様な関係者を巻き込み、将来に向けた新しい形のジオ活用を学ぶことができるジオサイトです。

昭和硫黄島ジオサイト

昭和硫黄島は、1934-1935年の噴火でできた、日本で最も新しい島です。黒曜石の光沢や、海底からの噴気を観察できます。ここには世界で3種しか確認されていない、海底噴気を好むカニの研究が行われています。

塩手鼻ジオサイト

塩手鼻は黒島の南西部にあるジオサイトです。塩手鼻付近には縦に亀裂の入った岩石がひしめいており、黒島有数の景勝地となっています。

基本情報

ジオパーク名:三島村・鬼界カルデラジオパーク

ジオパーク名(英語表記):Mishima Village Kikai Caldera Geopark

団体名:三島村ジオパーク推進連絡協議会

構成自治体名:鹿児島県三島村

お問合せ先

■三島村ジオパーク推進連絡協議会

〒892-0821 鹿児島市名山町12番18号 三島村役場 定住促進課

TEL 099-222-3141 FAX 099-223-1832

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■ウェブサイト 三島村ジオパーク