
徳島県の西の端にある三好ジオパークエリア。ここには、山の斜面に点在する「傾斜地集落」、四国三郎と呼ばれる暴れ川「吉野川」など不思議でステキな風景がたくさんあります。これらの風景の成り立ちを探っていくと、「動く大地」が深く関係していることがわかります。
三好ジオパークエリア内の四国山地と讃岐山脈の斜面には、集落が点々としていて、斜めの土地での暮らしに出会うことができます。斜面の集落の土台は周りの斜面よりも緩やかで、「地すべり」という山崩れによってできました。
三好ジオパークエリアには吉野川が流れています。大歩危峡あたりでは川幅が狭く激流ですが、阿波池田周辺より下流では川幅がだんだん広くなり、流れが穏やかになります。 流れが穏やかになり始める阿波池田地区では、吉野川は大きく折れ曲がり、「カックン」と東へ流れを変えます。この「カックン」と折れ曲がる吉野川の流れを生み出したのは、日本列島を貫く大断層「中央構造線」の活動が関係しています。
阿波池田には、いくつかの段差があります。そのうちの一つに、池田町ウエノとマチ・サラダの境に、高さ20~30mの崖があります。 この崖の真下には、中央構造線活断層系の一つである「池田断層」が東西方向に貫いており、それに沿ってこの崖はあります。この断層は一度動くと、右に数mと北の大地が数十cmずれ動きます。池田断層が、過去に何度もずれ動いたことによって作られた崖(断層崖)なのです。
この露頭は、加茂の河原にある池田断層破砕帯露頭です。これは、平成30年7月豪雨時、吉野川における大増水の際、河原の岩石が取り払われたことによって現れたもので、中央構造線の北側の大地を作っている和泉層群の破砕帯(黒色)と中央構造線の南側の大地と作っている三波川結晶片岩の破砕帯(灰緑色)が観察できる場所となっています。
ここでは中央構造線池田断層の破砕帯(断層運動によって岩石が砕けたり変形したりしている様子)を観察することができます。
この破砕帯露頭では、黒色や緑がかった灰色などの様々な岩石が変形したり、粘土化している様子を見ることができます。その希少性から、徳島県の天然記念物に指定されています。
大歩危峡や祖谷渓の大地の一部には、レキを含んだ結晶片岩「含レキ片岩」を観察することできます。 この岩石は、7000~9000万年前の浅い海底に堆積したレキの地層が、その後プレート運動によって地下十数kmの深さまで運ばれました。 その際のプレート運動の押し込みによって、レキが扁平に引き伸ばされました。 その痕跡を肉眼で観察することができます。なお、この含レキ片岩は徳島県の天然記念物に指定されています。
高知県との県境にある有瀬集落は、徳島県下でも有数のお茶の名産地です。その有瀬集落の一部では、地すべりが進みつつある箇所があります。 地すべりを抑制するための対策工がなされています。
山の頂上付近が窪地になっており、そこに水が溜まり池が形成されています。 この地形は線状凹地と呼ばれ、高い山の稜線沿いの斜面がその重みで変形することにより生じた窪地です。池の周囲は標高の高さと風の強さにより、ササ原となっており、生物学的にも貴重な場所となっています。
普段は顔を出している岩場も、吉野川が増水した時には沈んでしまいます。 吉野川は頻繁に増水を繰り返すので、生き物が生きる環境としては非常に厳しい環境ですが、体を小型化したり、葉を細長くすることによってその環境に適応し、たくましく生きている植物たちが見られます。
観光名所として名高い「祖谷の蔓橋」ですが、昔は斜面の集落同士をつなぐ交通路として活用されており、斜面の集落には欠かすことのできない存在でした。 蔓橋は、サルナシ(地域の呼称「シラクチカズラ」)を使って架けられています。サルナシの幹は、熱するとしなやかになる、丈夫で虫がつきにくい、などの性質があり、その性質を利用して橋が架けられています。その特徴から、国の有形民俗文化財に指定されています。
ジオパーク名:三好ジオパーク
ジオパーク名(英語表記):Miyoshi Geopark
団体名:三好ジオパーク推進協議会
代表者名:高井 美穂
構成自治体名:徳島県三好市、東みよし町
■三好ジオパーク推進協議会事務局(三好市役所産業観光部ジオパーク推進室内)
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