お知らせ・プレスリリース

島原宣言

2012年05月16日リリース

第5回ジオパーク国際ユネスコ会議が、2012年5月11日から15日にかけて日本の島原半島世界ジオパークで行われ、31カ国から593名が参加しました。 討議の結果、出席者はここに以下のことを宣言します。

島 原 宣 言

1)東日本大震災とジオパーク

2011年3月11日、マグニチュード9.0の地震によって引き起こされた津波により、東北地方で甚大な災害がおきたことに鑑み、ジオの脅威によって起こされる災害を軽減するために、ジオパークの仲間は、この被災体験を、ジオの脅威がある地域に住んでいる人々に対する教育のひとつの手段として、有効に活用しなければならない。


2)自然災害におけるジオパークの役割

地球は私たちに自然資源や美しく素晴らしい景観をもたらす。しかしながら、時には、地震、津波、火山噴火、地滑り、そして洪水のような大きな災害を引き起こすこともある。ジオパークにおいて私たちの生きている地球について教育することは、私たちの地域社会が、ジオの災害を時として起こす自然と如何に共存するかを理解するのに最も効果的である。


3)気候変動問題におけるジオパークの役割

今日、社会は前例のない地球規模の気候変動に直面している。私たちのジオパークは過去の気候変動の記録を有しており、それゆえ、私たちの地域社会や関係者と気候変動の議論を率先して行わなければならない。私たちは、気候変動の管理者であるべきであり、再生可能なエネルギーを活用し、「グリーンツーリズム」の最良の基準を運用する取り組みの成功例として、社会に認められるように努めるべきである。


4)自然資源の管理にあたってのジオパークの役割

ジオパークは、自然環境やけがれのない景観に敬意を払いながら、自然資源が採掘されるか、砕石されるか、周囲の環境から抑制されるか、その持続的使用と必要性について情報発信をする役割がある。


5)ジオパークの遺産の保全と活用

私たちのジオパークの地質、自然、無形や有形の文化の遺産を管轄し保存するさまざまな組織と連携することによって、また、質の高い施設を設置し、質の高い教育プログラムを提供することによって、私たちは、世界ジオパークネットワークのブランドが高く評価され、より認知されるように継続的に努力する。


6)ジオパークに関連する組織間の協力体制の確立

地域の人々、科学者、旅行業者、地方自治体、国家間の密接な協力は、ジオパークにおける、ジオ遺産の保全、教育、観光、管理に不可欠である。その結果、私たちのジオパークや私たちの地域社会が真に持続的に発展する。

ジオパークは、地域社会、特に、原住民の社会が十分に関わり、彼らがジオパークの所有者であると言う強い感覚を持ち、その発展に十分に貢献することができるように、強いボトムアップのアプローチをすることを推奨する。これは、アフリカ、ラテンアメリカ、南〜東南アジアを含んで、ジオパークへの関心が急速に広がっている世界の地域において特に重要である。


7)ネットワーク作りと持続可能な発展

学際的なアプローチ、情報・技術・人材の交換は、様々なレベルの活動においてジオパークを強化するために本質的なものである。それらのレベル間における有形・無形の遺産に関する科学的な知識の交換によって、私たちのジオパークの高い価値を提示し、向上させ、維持することができる。このような知識の交換によって認識されるジオの多様性は、ジオパークの持続可能な発展にとってひとつの重要な要素になる。


8)将来のジオパーク

ジオパークは理想を具体化した地域であるべきで、マスタープランを通して、革新的で、統合的で、敬意を表すべき地域の伝統や願望である、持続可能な発展への戦略をとるべきである。ユネスコは現在、ユネスコと世界ジオパークネットワークとの協力関係を改善し、将来可能なユネスコ・ジオパークプログラムあるいはイニシアチブを確立する可能性を探って加盟国に諮問しようとしている。私たち世界ジオパークの仲間はこの努力を全面的に支持する。


島原半島世界ジオパーク

2012年5月15日

島原宣言 - THE SHIMABARA DECLARATION PDF - 日本語
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