お知らせ・プレスリリース

日本ジオパーク再認定審査結果報告

2013年12月16日リリース

〇日本ジオパーク委員会は、以下の3地域のジオパークについて4年ごとに行う再認定審査を実施し、2地域を再認定、1地域を条件付き再認定とした。

再認定:山陰海岸、天草御所浦
条件付き再認定:恐竜渓谷ふくい勝山

〇3地域に、審査の過程で明らかになった改善すべき点をまとめた再認定結果報告書を送付し、どう改善するかまとめたレポートの提出を求める。より良いジオパークとなるよう、日本ジオパーク委員会は日本ジオパークネットワークと協力して助言を行う。

〇条件付き再認定となった恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークについては、2年後に問題点が改善されているかどうか再審査し、その結果を見てジオパークとしての継続を判断する。

審査で明らかとなった各ジオパークの活動状況の概要

山陰海岸

ジオサイトの保全、ジオパーク内の学術研究支援が進展しており、ジオパークとして一体となった運営ができつつある。ジオパーク内のガイド制度の整備が進んでおり、ガイドのレベルアップが可能な体制となってきた。これらの活動をベースに、ジオパークへの旅行者が増えてきており、ジオパークを利用したビジネスが創出され、IターンUターンの移住者が現れている。今後上記活動をさらに進めるとともに、地域住民同士のネットワークをさらに強化し、拠点施設や野外解説板・案内板をより魅力的なものとし、見学モデルプランの提案などを通じて旅行者にわかりやすいジオツーリズムを提示して欲しい。

天草御所浦

御所浦白亜紀資料館を中心として研究成果の蓄積がおこなわれ、その教育とツーリズムへの活用が進んでいる。地域住民と事務局による化石や露頭の保全は、他のジオパークへの良いお手本である。事務局体制が徐々に強化され、観光業と連携したジオツーリズムが進んでおり、ジオパークの地域振興への効果を地域住民が実感できている。今後は野外の説明板をよりわかりやすくし、情報発信の強化に取り組むことが期待される。またこれまでも指摘されているように地形、歴史・文化的遺構や海底の地形・地質など、あまり活用されていなかったサイトの一層の活用を進めて欲しい。

恐竜渓谷ふくい勝山

10年来エコミュージアムとして行われてきた地域力アップの活動を背景にして、新たな切り口ジオツアーが行われ始め、NPOやリゾート施設との連携も出てきた。しかし、勝山市のまちづくりの中でのジオパークの位置づけ、エコミュージアムとの関係が明確でなく、両者が別々に運営されることにより地域の自然・文化資源の一体的な活用が不十分となっている。年間60万人を集客する恐竜博物館を含めた地域の各種資源を、勝山市民がジオパークでどのように活かすか、市民、市、県など関係者で十分に話し合う必要がある。

日本ジオパーク認定審査・拡大審査結果報告

〇前回(第18回)委員会において、日本ジオパークネットワーク(JGN)への新規加盟を保留としたとかち鹿追地域について、運営体制等の改善が確認されたため、新規加盟を認めた。

〇これにより日本ジオパークは 27地域、世界ジオパークが 6地域、日本ジオパークネットワーク加盟地域は併せて33地域となった。

〇山陰海岸ジオパークと伊豆半島ジオパークのエリア拡大申請を認めた。

とかち鹿追ジオパーク(新規)

本地域は、約4-1 万年前の然別単成火山群の火山活動によりせき止められた然別湖の自然と、氷期の寒冷な気候が創り出した地形を見られる地域である。「新地球学」という地域の児童への優れた教育プログラムをもち、レベルの高いネイチャーガイドが活動している地域である。しかし、ジオパークとしての推進・運営体制が不十分であり、ガイドのいる然別湖周辺と多くの住民が住む鹿追地域とのジオパークとしてのつながりが不十分であると判断し、9月の委員会では今後の体制強化に期待して認定保留とした。その後ジオパーク事務局の体制が12月1日付けで強化され、鹿追地域におけるジオサイトの整備計画も決まり、ネイチャーガイドと事務局の協力でパンフレットやウェブサイトの作成も進んでいることから、ジオパークとして今後発展しうる体制と内容を備えたものと判断し、日本ジオパークに認定する。

山陰海岸 (エリア拡大)

申請のあったエリア拡大は、本ジオパークのテーマを補強し内容を豊かにするものである。拡大エリアには湧水を利用した生活文化、活断層地形と鳥取地震の災害遺構、鳥取砂丘から連続する砂丘地形がある。すでにガイドの活動や新たなガイドの養成も行われており、拠点施設の整備計画もある。以上のようなことからエリア拡大を認める。また、拡大地域を含めて世界ジオパークへの申請を認める。今後既存エリアと拡大エリアを結ぶ見学コースの設定とそれに伴う野外説明板やパンフレットの整備、ガイドのレベル向上等を期待する。

伊豆半島ジオパーク(エリア拡大)

本エリア拡大はジオパークエリアにあった地域のすきまを埋めるものであり、地元住民からの多くの要望に基づくエリア拡大申請である。拡大地域には伊豆半島の地形とその成り立ちを理解するのに良い展望台があり、富士山の溶岩を観察できる場所や柿田川湧水などのジオサイトがある。のエリア拡大は伊豆半島ジオパークにとって有意義なものと認め、拡大を認める。今後拡大エリアでのジオパーク普及活動をすすめて地域間の温度差をなくしていくとともに、地形や湧水に関してわかりやすい解説を工夫してほしい。

以上の結果、日本ジオパークは33地域(世界認定6地域を含む)となりました。